【感想】ライトノベル「夏に溺れる」

ガガガ文庫
著:青葉 寄 イラスト:灸場 メロ

© Shogakukan Inc. 2024
発売日:2024/8/20


かんざき
かんざき

みなさんこんにちは~

ガガガ文庫から「夏に溺れる」を読みました。
ラノベなんだけどラノベっぽくない、そんな作品でした。

作品紹介と感想、話していきます。
(ネタバレなし)
 

レビュー

十八歳、夏、逃避行。
人の気持ちを汲めない少女と表面上は完璧な少年(自殺願望あり)
毎日交互に殺人を繰り返す、不謹慎なゲーム付きの七日間。

人生に大きな諦念・虚無感等を持つ、危うい二人。
惹かれ合う彼らは、価値の見いだせない―――から逃げる


かなり歪んだ青春×逃避行作品。
水中を泳いでいるような……読んでいて生きづらさを感じる読書体験。
まさに、溺れているよう。


徐々に二人の過去と心が明らかになっていくけれど、
あまりに共感しきれないので、最後まで邦画をボーっと眺めているような感じ。
アニメ映画ではなく実写よりの描写で、リアルな閉塞感が味わえた。

「恋」というより「愛」に近い印象の話だったかな。

心が健康ではない人には、特にオススメです。
 

作品紹介

あらすじ

十八、終わる夏。私は誰かを殺すことにした

「母さんを殺してきた」――夜凪凛が、元クラスメイトの夏乃光から衝撃的な告白を受けたのは、夏休み明けの8月24日のことだった。

凛が光と出会ったのは遡ること1年と1か月前の夏のこと。
当時、不登校だった凛は退学届を提出するためだけに高校を訪れた日、四階の窓から飛び降りようとしている男子生徒と出くわした。成績優秀で眉目秀麗、学校内ヒエラルキーの頂点にいる男子、夏乃光だった。
小説や映画などの好みが似ていた二人はLINEのやり取りで親交を深めていく。やがて凛は、光が親との関係に悩んでいることを知る。友人関係に悩んで退学を決めた凛だったが、半年間休学して四月から再び二年生として学校に通うことした。

――そして、夏休み明けの始業式の朝、遅刻して登校してきた凛のことを駐輪場で光が待っていた。母親を殺してきたと告げた光は、凛を連れて逃避行を始める。
これからどうするのかと問う凛に、光はあるゲームを提案する。それは、八月が終わるまでの七日間、一日一人ずつ交互に殺したい人間を殺していくというものだった……。

行き場を失くした二人は凶器と化す。瑞々しい感性で描かれた青春の危うい側面。
第18回小学館ライトノベル大賞 大賞受賞作。

 

感想

「捕まって、人生終わって、何か困ることがあるの?」
この一言が衝撃的でした。

人によっては理解しがたい価値観だとは思います。
けれど、私自身にはグサッと刺さる所が多かったです。

なぜなら私も明日、いや今日人生が終わっても何も困らないと考えているからです。
特段不幸でも幸福でもなく、理由は全くありません。
死ねないから今日も生きているだけ……みたいなね。

「病んでいる」と一言で言えば簡単だけれど……。
生きづらいと感じている人にはきっと気持ちが分かるのではないかと思います。

(※夜凪凛の気持ちだけ。夏乃光はマジで図りかねる……)
そこらへんの心情が複雑に描かれてました。

あと4章の扉絵が怖くてゾッとした(笑)
 

終わりに

かんざき
かんざき

全部夏のせいだ。


異質なラノベでしたが、確かな面白さがありました。

学校周りの負の話がとても生々しく、解像度が高かった。
どういう過程でこの話が出来上がったのか、少し気になるくらいには。

次回作にも期待したいです。

またねっ!(^-^)/

コメント

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