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みなさんこんにちは~
「ミモザの告白」が5巻で完結しました🎉
咲馬と汐、二人がたどり着いた到達点。
そこに至るまでの過程を振り返ると、込み上げてくるものがあります。
感想、話していきます。
どんなお話?
この作品を知らない方に簡単に。
あらすじ
彼が恋したのは、幼馴染の男の子
冴えない高校生・紙木咲馬には、完璧な幼馴染がいた。
槻ノ木 汐――美少年な彼はスポーツ万能、成績優秀。人望も厚く、女子にもモテた。
かつて汐とは親友同士だった咲馬だが、劣等感から徐々に疎遠な関係に……。
そんな性格を拗らせた咲馬でも恋をする。相手はクラスの愛されキャラ・星原夏希。
彼女と意気投合し、これからに胸を躍らせる咲馬だったが、その日の夜の公園で信じられないものを目にする。
それは、セーラー服を着て泣きじゃくる、槻ノ木汐の姿だった……。
本作は、「槻ノ木汐の告白によって変化していく人間関係」に焦点を当てた物語です。
ミモザの告白 p334 あとがき
あとがきにもあるとおり、
汐の「告白」によって起きる、恋と変革の話でした。
主なキャラクター
・紙木 咲馬 主人公。友達は少ない
・槻ノ木 汐 咲馬とは幼馴染だがしだいに疎遠に……。
(・槻ノ木 操 汐の妹 お兄ちゃんっ子
・星原 夏希 活発、愛されキャラ
・西園 アリサ クラスの女王的存在
・世良 慈 東京からの転校生
ミモザ
・ミモザ・・・マメ科アカシア属の植物の俗称
表紙のイラストでキャラクターが持っている花がそうです。
・花言葉
黄色いミモザの花言葉は「秘密の恋」
男性が女性へ告白する際によくミモザが贈られていたそう。
全巻を通しての感想
振り返ってみて
田舎という閉鎖的な村社会で繰り広げられる青春・学園ストーリー。
情報はすぐに広まるし、逃げ場はないし……。
汐にとってはさぞ生きづらい場所だっただろうと、今でこそ思います。
読んでいる最中は、どうしても咲馬視点で読んでしまうので、汐のことまで気が回らないんですよね。
彼が悩み、考え、そしてどんな決断をするのか。
平凡で一般的な彼だからこそ、感情移入してしまいました。
振り返ってみて②
デリケートな話題なため、ギスギスした話が続きます。
一歩前進しても、なにかのきっかけですぐに瓦解してしまうような不安定さがありました。
正直、胃をキリキリさせながら読んでました(笑)
けれど、巻を持ち越してギスギスした状況が続かない所は幸いでした。
あと、毎回話が良いところで終わるんですよね。
なので次巻にも手が出しやすかった。
変革
汐の「告白」は、咲馬や夏希、そしてクラスの関係を。やがて学校行事を経て、学校を変えていくことになります。
もちろん、すぐに受け入れられる……なんてことはありません。
困惑している人が多い中、受け入れられない人達は怒りをぶつけてきます。
それは、汐の妹であったり、西園、部活のチームメイト等々……。
家族やライバルといった関係性の違いだけで、見えてくるものが全然違いました。
そういった所が細かく描写されていて、良かった。
個人的には4巻、妹の汐と親子間のエピソードがお気に入り。
世良という男
物語のヴィラン的な立ち位置の彼。
博愛主義であり、咲馬や汐たちを翻弄させてきます。
東京出身なだけあり、多様性にも寛容というか……
嫌味な人ですが、否定はできない説得力があり、憎み切れないキャラクターでした。
結末について
―――以下、ネタバレ―――
・インタビュー記録
あれは何だったんですかね。
誰が取材したのか、どういう目的でしたのか。
設定があるとしたら卒業式関係かなーって思いますが、ただ単に「汐」という人間を受け入れたみんなのことを書きたかったのだと思います。
赤裸々に語られていて好きです。
・これからの皆
ジェンダーの垣根はそのまま、納得し受け入れた二人。
二人の到達点。そして、皆の成長と未来が垣間見れて幸せです!!
紙木は人との交流が増え、汐は今まで以上に、自分らしく過ごしているように見えました。
大円団で終わった一方で、少しモヤモヤが残ったのも事実です。
汐が特別なだけで、咲馬は異性愛者なんですよね。
新しい愛の形、と言えばそれまでですが……。
綺麗に終わった点、ギスギスが少なかった点もあって、あっさり終わっちゃったな~って。
最終巻の小ネタ
カクテル「ミモザ」
ミモザは、シャンパンやスパークリングワインをオレンジジュースで割って作るシンプルなカクテル。
そして、ミモザのカクテル言葉は「真心」。
ありのままの姿を貫き、誠意ある汐にピッタリですね。
宗谷岬
日本の最先端のオブジェクト
いい景色~♪
終わりに
性的嗜好→指向という言葉に変わったのが1999年のこと。
今でこそ「多様性」が尊重され、そういった性別・ジェンダー間の話を聞くようになりましたが、
1巻が出たのは2021年の7月末。
こう見ると、かなり先駆けた話題のように思いました。(ラノベ内では)
こんなことを言うと、配慮の無い書き方かもしれません。
けれど私自身、こういった作品を読んだこと・見たことは初めてでした。
あくまで物語であり、汐の話であって、現実はもっと複雑なのかもしれません。
答えがないからこそ突き放すのではなく、考える、考えていくことが大切なんじゃないかと思います。
自分の中の当たり前は、全然違いますからね(笑)
特に、理解できない考え方に対して、咲馬が「気持ち悪い」と言ってしまうシーンが印象的でした。
シリーズを通して、新しい青春の形を見れたように思えます。
ある意味「歪み」とも捉えられるような関係性が良く、面白かったです。
八目迷先生の次回作にも期待しています!!
またねっ!(^-^)/
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